露西亜貨幣 撰 |
帝政ロシアの通貨事情/18世紀 宮廷貨幣 ― ポルチーナ金貨 Монеты для дворцового обихода ― Золотая полтина
ロシアの18世紀、エリザヴェータ女帝 (1709−62) の御世 (在位1741−61)、宮廷内では日ごと夜ごとトランプ賭博に興じていた。 当時、ロシアでは流通用の金貨として、10および5ルーブルの金貨が製造されていたが、宮廷内での賭け金の支払い用として、1756年6月21日の勅令で 「宮廷貨幣」 と呼ばれる金貨が製造された。 それらの金貨は、賄賂や他のいかがわしい取引の際の支払い用としても使用されたと言われている。 最初の宮廷貨幣は、1756年にモスクワ造幣廠で、2ルーブル、1ルーブル、ポルチーナ (半ルーブル) の3種類の額面で製造されたが、これらの宮廷貨幣は一般流通用の10ルーブルおよび5ルーブル金貨よりも幾分軽量で、流通用の10ルーブル金貨が量目3ゾロトニク85ドーリャ (16.57グラム)、品位88/96 (従って1ルーブル当りの純金量は1.519グラム) であったのに対して、宮廷用の1ルーブル金貨は量目36ドーリャ (1.61グラム)、品位88/96 (従って1ルーブル当りの純金量は1.467グラム) であった。 宮廷貨幣は、エカテリーナU世 (1729−96) の治世下 (1762−96) においても、2ルーブル、1ルーブル、ポルチーナ (半ルーブル) の3種類の額面で製造されている。 これらの宮廷貨幣 (金貨) は、1ルーブル当りの量目29 20/44ドーリャ (1.31グラム)、品位88/96 (従って1ルーブル当りの純金量は1.20グラム) で、一般流通用の10ルーブル金貨 (量目3 3/44ゾロトニク、品位88/96) および5ルーブル金貨 (量目147/88ゾロトニク、品位88/96) と1ルーブル当りの純金量の差はない。
ロシアの重量単位 |
1プード |
= 40フント |
= 16,380g |
1フント |
= 96ゾロトニク |
= 409.5g |
1ゾロトニク |
= 96ドーリャ |
= 4.266g |
1ドーリャ |
= 0.0444349g |
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エリザヴェータ女帝のポルチーナ金貨
エリザヴェータ女帝のポルチーナ金貨は、品位88/96 (916/1000) で、量目18ドーリャ (0.8グラム)、平縁で製造された。 ポルチーナ金貨の表面にはエリザヴェータ女帝の右向き肖像、周りに 「ЕЛИСАВЕТЪ・IМП・」 の銘。 裏面に桂冠を載いたエリザヴェータの“E”の文字とペトロヴナのラテン文字“P”から成る女帝のモノグラム (組み合せ文字)、周囲に額面 「ポルチーナ ПОЛТИНА」 と発行年号の 「1756」 が刻まれている。
Золотая полтина 1756 года Елизаветы Петровны,
エカテリーナ二世のポルチーナ金貨
エカテリーナ二世のポルチーナ金貨は、品位88/96 (916/1000) で、量目14 32/44ドーリャ (0.65グラム)、平縁で製造された。 ポルチーナ金貨の表面にはエカテリーナ二世の右向き肖像、周りに 「Екатерина・II・IМП・」 の銘。 裏面に桂冠を載いたエカテリーナの“E”の文字とアレクセーエヴナの“А”から成るモノグラム (組み合せ文字)、周囲に額面 「ポルチーナ ПОЛТИНА」 と発行年号の 「1777」 が刻まれている。
Золотая полтина 1777 года Екатерины II,
宮廷貨幣 ― ポルチーナ金貨
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ひげ税記章 (髭トークン)1705年
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