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ロシア革命の貨幣史

国際金本位制時代

 

金本位制は19世紀の世界の趨勢であり、各国は競って金本位制を実施している。
いちはやく資本主義経済の基礎を確立したイギリスは各国に先駆けて1816年に金本位制に踏み切っており、 また、1871年にはプロイセンを中心に連邦帝国として統一されたドイツが、普仏戦争で勝利したことによって得た 賠償金50億フランを基礎にして、マルク金貨を本位貨幣とする金本位制を採用した。
フランス、ベルギー、イタリア、スイスは、1865年にフランスのフラン十進法に基礎を置いたラテン貨幣同盟を結成し、 その貨幣制度には伝統的な金銀複本位制を踏襲していたが、銀価の下落によって、1873年にベルギー、 更に1876年にはフランスが本位銀貨幣の自由造幣制を停止するなど、加盟各国は跛行金本位制に移行していた。

このように国際的な銀の "貨幣廃位" が進む中で銀が大幅に過剰となり、1870年には金1対銀15.37であった金銀比価は、 1886年に金1対銀20.78、1895年には金1対銀31.61と、銀は1870年の半値以下に下落した。 更にロシアが金本位制を施行した1897年には金1対銀34.34になっている。

日本は、1897年、ロシアの金本位制施行と同じ年に金銀複本位制から金単一本位制に移行し、また、 列強最後の金本位制実施国としてアメリカ合衆国が1900年3月14日に金本位制を法制化している。

20世紀初頭において、金本位制に基礎を置いていた主要国の法定平価は次のようになっていた。

国際金本位制時代の法定平価表

  国名

貨幣単位

平価 (対ルーブル)

平価 (対ポンド)

  ロシア

  ルーブル

  1ポンド=9.4576ルーブル

  イギリス

  ポンド

  1ルーブル=0.1057ポンド

  フランス

  フラン

  1ルーブル=2.6668フラン

  1ポンド=25.2216フラン

  ベルギー

  フラン

  1ルーブル=2.6668フラン

  1ポンド=25.2216フラン

  スイス

  フラン

  1ルーブル=2.6668フラン

  1ポンド=25.2216フラン

  イタリア

  リラ

  1ルーブル=2.6668リラ

  1ポンド=25.2216リラ

  ギリシャ

  ドラクマ

  1ルーブル=2.6668ドラクマ

  1ポンド=25.2216ドラクマ

  ドイツ

  マルク

  1ルーブル=2.1601マルク

  1ポンド=20.4295マルク

  スェーデン

  クローネ

  1ルーブル=1.9201クローネ

  1ポンド=18.1595クローネ

  デンマーク

  クローネ

  1ルーブル=1.9201クローネ

  1ポンド=18.1595クローネ

  アメリカ合衆国

  ドル

  1ルーブル=0.5146ドル

  1ポンド=4.8666ドル

  日本

  円

  1ルーブル=1.0323円

  1ポンド=9.7633円

 


 

第一次大戦前には、列強のほとんどは金本位制を採用していた。 そこでは、貨幣の本質は価値物としての金であり、貨幣とは金によって現した経済価値であるということが確定していた。 貨幣の機能である価値の尺度、交換の要具、支払の手段として、金貨幣が最も適当であった。 各国間には本位金貨幣を中心にした為替関係による相互連携があった。

第一次大戦の勃発により、各国は金本位制を中断したが (日本は1917年に金輸出を禁止)、 大戦後、各国は再び金本位制に復帰 (アメリカ合衆国 1919年、イギリス 1925年、日本 1929年) する。 その後、1929〜33年の世界経済恐慌によって、1930年代に各国は相次いで金本位制を廃止することを余儀なくされることになる。

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